みなさんこんにちは。 OTTサービス技術部 開発第一グループの諸岡です。
今回は少し毛色を変えて、身近な入力機器であるキーボードについて書いていこうと思います。
- 左右分割キーボードの利点
- 自作キーボードの利点
- 快適に作業する為のキーマップカスタマイズも可能
- 自作キーボードを作る場合に必要な物など
- キースイッチについて
- Keyball以外にもあるトラックボール搭載左右分割キーボード
- 最後に
みなさんは、普段の入力に使っているキーボードは何を使用されていますか?
私は現在、白銀ラボさんが販売されている自作キーボードキットであるKeyballシリーズを使用しています。
このKeyballシリーズは、左右分割・トラックボール付きの自作キーボードキットです。
現在使用している、この Keyball44 を使用する前にキー数が多い Keyball61 のキットを使用していましたが、
最上部の数字キーのタイプがしっくりこなかったため、キー数が少ないKeyball44に現在落ち着いています。
私がKeyballを選んだ理由としては、
- 左右分割キーボードである
- トラックボールを搭載していて、ポインタ操作時にキーボードから手を動かす必要が無い
- 自作で、キースイッチを自由に選択する事が出来る
が主な理由となっています。
左右分割キーボードの利点
名前の通り、左右に分割されていてそれぞれをある程度自由な位置に配置する事が出来るキーボードです。
単純に左右に分割出来るようになりますよ。と言う形状の物から、最初から分割ありきで設計された物まで多種多様な物が存在しています。
例として、販売されている物では
こちらの物のように、本当に普通のキーボードをただ割ったような形状の物であったり
こちらの物のように、シンメトリーな形状となっている物等
市販されている物でも少し探すだけでも最近は多様な製品が見つかります。
また利点としては、キーボードを左右に分けて机の上に配置する事が出来る為に、
- タイピング時に肩を開いた姿勢を取りやすく、肩や首のコリが軽減される。
- タイピング時の手首の負担が軽減され、腱鞘炎対策にもなる。
- 姿勢が良くなる(個人差が大きいです)
- キーボードの間を開ける事が出来るので、ノート等を置いて作業する事が出来る。
等があります。
ただ、肩や首のコリを軽減したり腱鞘炎対策とする為にはデスクスペースを少し広く取る必要があるので注意が必要です。
自作キーボードの利点
市販されているキーボードへ不満を持っている方であれば、その不満が解消される可能性が高いです。
また、左右分割タイプ以外でもキーの配置に特徴があるものや、Keyballシリーズのようにトラックボール等のポインティングデバイスを搭載可能な物など、
色々な方が「こんなキーボードが欲しい」を形にしていますので、普段使っているキーボードに不満がある方は多数の自作キーボードキットの販売を行っている遊舎工房さん等を覗いてみる事をおすすめします。
例えばキー数が市販されているキーボードより少なく、持ち運びに適しているもの
【委託】REVIUNG46shop.yushakobo.jp
下記のように、配列の形状が独特なもの
Keebmonkey Blackhole Pro Acrylic Keyboardshop.yushakobo.jp
【委託】おさかなキーボードshop.yushakobo.jp
キー数が多いエルゴノミクス形状なもの
【委託】suika85ergoshop.yushakobo.jp
等、豊富な種類・形状のキーボードキットが販売されています。
快適に作業する為のキーマップカスタマイズも可能
また、市販されているキーボードと大きく違い、魅力的な点として、 ほぼすべての自作キーボードが、キーマップをほぼ自在に変更する事が可能となっています。
Keyballシリーズでは、remapと言うサイト上でキーマップを直感的に変更する事が可能です。
更に、通常よりキー数が少ない点を補う為に「レイヤー」機能が実装されています。
レイヤー機能を活用する事で、少ないキーでも記号専用レイヤーや数字専用レイヤーを用意・切り替えて自由な入力を行えます。
Keyballシリーズでは、デフォルトでは4つのレイヤーが使用出来ます。
基本的には4つのレイヤーに各キーを設定して、キータップ又はキー長押しで切り替えて入力する事になります。
Remapの良い点としては、カスタマイズしたキーマップを保存・公開が可能となっています。
そのため、他の人がカスタマイズ・公開されているキーマップを参考にして、自分のキーマップを作成する事が出来ます。
また、万が一キーボードのマイコンに保存されているキーマップデータが消えてしまったとしても、復旧が容易となっています。
そして、キーマップは左右のマイコンにそれぞれ独立して保存する事が出来るようになっており、 例えば、右側のマイコンにPC用のキーマップを登録しておき、PCで作業する際はそちらを使用し、 タブレット等を使用する際は左側のマイコンを接続して使用する。という使い方も可能です。
ファームウェアとキーマップ編集について
KeyballではQMK Firmwareが使用されています。
多くの自作キーボードで採用されているファームウェアとなっています。
また、QMK FirmwareではRemap以外にVialと言うキーマップ編集プラットフォーム、ソフトもあります。
こちらはRemap同様にWebブラウザ上及びローカルで起動するアプリケーションも配布されています。
Remapとの違いとしては、こちらでは Remap では設定がおこなえないコンボキー(複数キーを同時押しする事で特定のキー入力と認識させる)機能があります。
また、最近ではBluetooth等の無線接続に対応したファームウェアである ZMK Firmwareを使用しているキーボードも登場しています。
こちらはRemap, Vial以上にキーに関するカスタマイズ自由度が高いものとなっています。
また、こちらもWebでの編集と、各環境向けの編集ソフトウェアが用意されています。
しかし、ソフトウェアの方はまだ発展途上なようで、現在は基本的なキーマップ編集のみ可能なものとなっています。
これらのキーマップ編集プラットフォーム、ソフトを使用して、 自作キーボードではキーマップを自分好みに仕上げていくことになります。
自作キーボードを作る場合に必要な物など
文字通り「自作」ですので一般的なキーボードとは違い自分で組み立てる必要があります。
キットにもよりますが、大体必要となるのは、
- 半田ごて
- ピンセット(ダイオード等の細かい部品を半田づけする際に必要)
- ドライバー(プレート等の組み立てに必要)
- マスキングテープ(パーツを半田づけする際に一時的に固定する為に必要)
- ニッパー(キットによってプレート等の切り離しに必要)
等となります。
なお、最近のキーボードキットではダイオードがかなり小さい物を使用している物も多い為、
視力に自信のない方は10倍程度の拡大率を持っているレンズを用意しておくと、ダイオードの半田づけの方向間違いを抑えられます。
また、私は実装しませんでしたがKeyballシリーズではLEDを取り付ける事が出来ます。
LEDを取り付ける方は、温度調整可能な半田ごてを使用する事をおすすめします。
これは、市販されているLEDパーツはダイオード等と比べると熱に弱いため温度調整が出来ない半田ごての場合、取り付けの際に熱で破損してしまう恐れがある為です。
ダイオードのサイズは下記の画像のように、最近の自作キーボードキットではだいたい米粒サイズとなっています。
半田づけをする際の方向を指示するラインが表にプリントされていますが、確実に確認する為にはルーペ類があると安心出来ます。
ダイオードなどのパーツサイズはかなり小さいですが、制作者様が公開されているビルドガイドや、
YouTube等にある半田づけ解説動画等を参考にする事で、電子工作初心者の方でも比較的簡単に作成出来ます。
また、キットによってはダイオード等がすでに半田づけされている状態で販売されている物もありますので、
電子工作に自信の無い方にはそちらもおすすめです。
キースイッチについて
自作キーボードは基本的に、一般的に言われる「メカニカルキーボード」となります。
そのため、完成させる為にはキースイッチが必要となります。
キースイッチには、基本的には一般的に使われているMX互換のキースイッチと、 背の低い(ロープロファイルと呼ばれています)Choc V1, V2互換のキースイッチの、 大きく2種類に分かれています。
また、静音性を重視した物や 昔からのメカニカルスイッチらしい、押すと「カチカチ」と音がするキースイッチ等、 多種多様な物が色々なメーカーから販売されています。
私の場合は、打鍵感と静音性を重視していまして、 PFUさんがHHKB Studio用に販売されているキースイッチ
そして、ロープロファイルキーボードを販売されているLofreeさんが販売されている Hades Low-profile POM Switches
Hades Low-profile POM Switcheslofree.co.jp
を組み合わせて使用しています。
PFUさんが販売されているリニアスイッチは、本家本元が販売されているだけあり、 HHKBとほぼ変わらない打鍵感となっていて、HHKBやREALFORCEを愛用されている方にもとてもおすすめです。
他にも、HHKBに近い打鍵感のスイッチであったり、 もっと軽い打鍵感のスイッチ等、多種多様なスイッチがありますので、 それらを試して好みのスイッチを探すのも楽しみの一つです。
Keyball以外にもあるトラックボール搭載左右分割キーボード
今回は自分が使用しているKeyballをメインで自作キーボードを紹介いたしましたが、 Keyball以外にも色々と制作・頒布されています。
例として、Bluetoothかつ電池で動くtorabo-tsuki
【委託】torabo-tsuki (M)shop.yushakobo.jp
Keyballにインスパイアされて作成された、 バッテリー駆動式のBluetooth接続キーボードのroBa
更に、roBaを元にロープロファイルキースイッチを使用して、 roBa等よりも携帯性が向上しているmoNa2
他には、左右分割ではありませんがトラックボールを搭載しているpicot_O44
[Pre-Order] picot_R40cocotkeebs.com
国外の方が販売されている、トラックボールの取り付けを左右自由に選べるキット
Crosses Modular DIY - Keyboard Kitergokeyboards.com
等、個人で制作・販売されている物も多数ありますので、 好きなキーボード探してみる事も楽しみの一つになると思います。
また、それでもピンとくる物が無い場合は、
いっそのこと自分で基板から設計してみるのも選択肢の一つになるかなと考えています。
設計についても、最近は色々な制作者さんによる豊富な情報がありますので一昔前に比べると、
かなりハードルが低くなっていますので、興味のある方は是非挑戦してみてください。
最後に
自作はハードルが高い場合は、近年では市販されているキーボードでも左右分割タイプの物が増えて来ていますので
そちらから探すのも一つの手です。
Amazonでも下記のように多数のキーボードが検索すると出てきますので、 こちらから探したり
また、Naya Create と言うBluetoothかつトラックボールやトラックパッド等を、
モジュールとして組み合わせる事が出来るキーボードもあるようです。
こちらは公式サイトから購入が行える状態となっておりますが、発送されるまで数ヶ月待つ事になる状態となっているようです。
個人的にはこちらのキーボードにも期待しています。
このように、色々と選択肢が増えてきています。
みなさんも、キーボードにこだわってみてはどうでしょうか。