こんにちは、プラットフォーム技術部開発第1グループの今雪とクラウド推進技術部第1グループの今坂です。
今年4月にラスベガスでNAB Show 2023というイベントが開催されましたが、PLAYからも今雪と今坂の2人が視察に行ってきました! 4/15に日本を出発し、4/16〜4/18の3日間参加しました。
今回の記事はそのレポートになります。 イベントの様子や世界のトレンド、気になった技術についてお届けしたいと思います。
NAB Showとは
NAB Showとは、映像・配信テクノロジーに関する企業が集う世界最大規模の展示会で、1991年からネバダ州ラスベガスのラスベガス・コンベンションセンターで開催されています。 今回のNAB Show 2023は、4/15〜4/19の期間で行われ、166カ国から1208社もの企業のブースが出展し、6万人以上が来場しました。 昨年11月に幕張メッセでInterBEEという展示会が開催され、PLAYもブースを出展しましたが、NAB Showはそのスケールがさらに拡大したイベントというイメージです。 また、企業ブースの出展だけではなく有名な企業の経営者やエンジニアが登壇するカンファレンスやワークショップがいくつも開催されました。
会場の様子
NAB Showはラスベガス・コンベンションセンターで開催され、3つの大きなホールでブースが展開されていました。
下の写真はWESTホールの会場入口です。
1つのホールの入り口だけでこの大きさなので、この規模のホールがさらに2つあるのを想像すると会場の巨大なスケール感が伝わるかと思います。 会場が広いためテスラ社の車がホールとホールの間をずっと移動しており、無料で乗ることができました。我々はWEST HALLからNORTH HALLへ移動するために一度使わせてもらいました。(ちなみに自動運転ではなくドライバーの方が運転されております。)
会場内は様々なブースが展開されており、たくさんの人で賑わっていました。
グリーンバックの時代は終わりを告げた!? 新時代の映像クリエイション!
今回NAB Showに参加して感じたのは、映像制作の次世代の形は没入型のバーチャルプロダクションであるということです。 以下はNAB Showの会場に設けられたThe Unreal Rideのブースの写真です。
Unreal Rideブースは巨大なLEDウォールとカメラロボット、小道具のバイクから構成されていて、実際に訪れた人がこのバイクに乗って体験することができます。 LEDウォールとカメラロボットはモーションコントロールで連携しており、カメラの動きと後ろのスクリーンの映像の動きが同期しています。 実際に撮影された映像はその場ですぐに確認することが可能で、自分が近未来空間をバイクで駆け抜けるとても臨場感のある映像が仕上がります。
また、これと似たような展示がAWSブースにもありました。 こちらも被写体の後ろの壁がスクリーンになっており、映像が被写体の動きと連動するようになっています。
このような映像クリエイションの新たな手法は、映像に映る演者自身も周囲の映像が見えるようになることで、より臨場感のあるリアルな演技を引き出すことができます。 AWSブースではこちらで撮影された映像を使って色味を編集するツールや音声の編集ツール、映像の共同編集ツールなども紹介されておりました。
気になった技術・プロダクト
ブースを回っていて気になったプロダクトをいくつか紹介します。
Magnifi
Magnifiはスポーツのハイライト映像などをAIで自動生成できるプロダクトです。
なんとこのMagnifiは、AIが映像をもとに現在の試合の状況を把握することができるのです!
そのため、映像でどの部分が重要なポイントかを判別して切り出したり、複数の画面サイズのハイライト映像を自動生成できてしまうのです。
画像: Magnifi 公式サイト
通常は人間がどの部分が注目すべきポイントか、画面サイズを変える際にはどこにフォーカスして追跡するかを判断するところをAIがやってくれるのは驚きです!
最終的に人間の目でチェックする必要はありますが、ワンクリックで「ハイライト映像の生成」および「画面サイズに合わせた複数バージョンの生成」ができるので工程が大幅に削減されます。
これまで手作業でハイライトを生成してきた企業にとって、ワンクリックでハイライトを作成できるMagnifiは、ゲームチェンジャーとなるのでは!!
SSIMWAVE
画像: SSIMWAVE公式サイト
IMAX SSIMWAVEは、映像のユーザー体験をスコアとして数値化することができます。AIが対象となる映像を人間が視聴した時にどのような見え方をするかを認識することが可能です。 例えば、コンテンツをストリーミング配信する際には元の動画に対してエンコーディング処理が行われ配信に最適な形式に変換されます。動画が処理されて配信されるまでの一連のフローでクオリティはどう変化してユーザー体験はどうなるのかが数値として可視化されることで、ユーザー体験を改善したり一定水準を満たすものだけを承認するなどの作業が非常に容易になります。
0〜100の絶対値でスコアが算出されるので、スコアをもとにカスタムで処理を追加したいという時も難しいことを考える必要がなくなります。
TAG Video Systems
入力映像やエンコードされた映像、クライアントに出力されている映像など複数のポイントに対してモニタリングできるシステムを紹介していました。 入力映像のPCRエラーや入力されたSCTEの情報などがダッシュボードで見れたり、ユーザーがセグメントのダウンロードにどの程度時間がかかったかなどがわかるようになっていました。 ユーザの視聴体験のモニタリングもできるので、システムのアップデートによる改善や障害検知をいち早く行えるソリューションだと思いました。
奇抜なブースも
NAB Showでブース回りをしていると、奇抜なブースも見つけました。
上の写真はAppearさんのブースなのですが、バーカウンター形式になっています。 ブースを訪れる時ってちょっと構えてしまったりするものですが、この形式だと訪問者がリラックスした雰囲気で説明を受けられそうですよね。 斬新なので訪れる人も気になって立ち止まってくれそうなので「うちでブース出す時もやりたいな」と2人で話していました(笑)
まとめ
今回のNAB Show視察を通して、最新の映像クリエイションやトレンドとなっている技術を知ることができました。また、私たちが今まさに取り組んでいるのと同じ領域で先駆けているプロダクトを見ることができて刺激的でした。
エンジニアとして開発に取り組んでいて思うのは、インスピレーションを受けることが非常に重要だということです。やはり自分で考えつく範囲には限界があると感じます。NAB Showのようなイベントを通して様々なプロダクトを見て触れることで「この技術を組み合わせるとこういうビジネスの切り口があるのか」「こういう画面の構成は参考になる」など新たな発見がありました。
来年もNAB Showは開催されると思うので興味のある方はぜひ視察に行ってみてください! 海外なので日本の出展を見るよりかはさらに得るものは大きいと思います!
以上、NAB Showの視察レポートでした。