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SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシート連携でデータ管理

皆さん、こんにちは。 この記事では、SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシートを連携させる方法を詳細に解説します。これにより、スプレッドシートの情報をSlackで簡単に取得でき、情報共有の効率化が図れます。

Google Sheets for Workflow Builder とは

Google スプレッドシートとワークフロービルダーを組み合わせて使うと、ワークフローからスプレッドシートへのデータの取り込みや Google スプレッドシートから Slack へのデータの取り込みが簡単になるというものです。

Slackアプリの「Google Sheets for Workflow Builder」をインストールすることで使えるようになります。 このアプリはSlackの有料プランを契約していれば、追加料金なしで利用できます。

slack.com

SlackからGoogleスプレッドシートの値を情報取得する使用例

SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシートを連携させる具体的な例として、マーケティングキャンペーン状況の把握を目的とした連携サンプルを作成しました。 このプロセスでは、SlackからキャンペーンIDを入力し、それに対応する情報がスプレッドシートから取得され、結果がSlackに表示されます。

このサンプルの作成方法は後述のスプレッドシート連携ワークフローの作成例に記載しています。

画面左上部にある「ワークフロー」フォルダをクリックして、作成したワークフローを選択します。

ワークフローの起動

次にスプレッドシートの列にマッチする値を入力しましょう。

フォームを送信する

入力した値に一致したレコード結果が返却されます。

メッセージを送信

このように、メールマーケティング、在庫管理、プロジェクトの進捗管理、システムのユーザ管理台帳など、GoogleスプレッドシートとSlackのワークフローを連携させると、スプレッドシートへの更新も行うことができます。Slackを使ってリアルタイムで状況を把握したり、適切な注文や在庫調整、リソース管理を行うことが可能になります。


では興味が沸いてきたら作ってみましょう。

Slackワークフロービルダーの基本的な使い方

インストール

(初回のみ)「Google Sheets for Workflow Builder」のインストール

全体の流れ

  1. Slackで「ワークフロービルダー」を開きます。あるいは「ワークフロー」を検索することもできます。
  2. 新しいワークフローを作成するか、既存のワークフローを編集します。
  3. 「ステップを追加」をクリックし、アクションから「Select a spreadsheet row」を選択します。
  4. Googleアカウントを認証し、連携したいスプレッドシートを選択します。
  5. 主キーとスプレッドシートの対応する列を選択、「ステップを保存」をクリックします。
  6. 最後にワークフローを公開します。

インストール手順

1.アプリのインストール:まずはSlackに「Google Sheets for Workflow Builder」アプリをインストールしましょう。アプリディレクトリから「Google Sheets for Workflow Builder」を検索し、インストールボタンをクリックします。

Setup Google Sheets for Workflow Builder

2.Googleアカウントの連携:インストール後、Googleアカウントと連携します。連携ボタンをクリックし、指示に従ってGoogleアカウントを選択し、連携を許可します。

3.ワークフロービルダーでアプリの選択:次に、ワークフロービルダーで新しいワークフローを作成または既存のワークフローを編集します。アクションの追加ボタンをクリックし、「Google Sheets for Workflow Builder」を選択します。

4.アクションの設定:スプレッドシートの行の追加、選択、更新、削除のいずれかのアクションを選択し、詳細設定を行います。設定項目はアクションにより異なりますが、例えば行の追加の場合、スプレッドシートのURLと追加する内容を設定します。

5.保存と公開:最後に、ワークフローの設定を保存し、公開します。これで、Googleスプレッドシートと連携するワークフローの設定が完了です。

以上の手順で、GoogleスプレッドシートとSlackワークフロービルダーを連携させ、さまざまなデータ操作を自動化することができます。

スプレッドシート連携ワークフローの作成例

今回は、顧客IDやユーザ名など一意な情報をSlackから入力し、スプレッドシートに記録された情報を抽出してSlackに表示してみたいと思います。

ここでは、SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシートを連携させて実際にどのように活用できるのか、IDで管理するマーケティングキャンペーンの追跡 を例に作成したいと思います。

ダミーデータの用意

メールマーケティングツール(例.Mailchimp )などを想定して、スプレッドシートには次のようなデータを用意してみました。

mailchimp.com

キャンペーンID キャンペーン名 受信者 開封率(%) クリックスルー率(%) コンバージョン率(%) バウンス率(%) ROI(%)
001 春の新商品紹介キャンペーン 1000 20 10 5 2 200
002 夏のビッグセールキャンペーン 1500 25 15 7 1 250
003 秋の感謝祭セールキャンペーン 2000 30 20 10 3 300
004 冬の特別割引キャンペーン 2500 35 25 12 2 350
005 新年お年玉キャンペーン 3000 40 30 15 1 400
006 バレンタインデー特別キャンペーン 3500 45 35 17 2 450
007 ホワイトデー限定キャンペーン 4000 50 40 20 1 500
008 ゴールデンウィークセールキャンペーン 4500 55 45 22 2 550
009 父の日感謝キャンペーン 5000 60 50 25 1 600
010 母の日感謝キャンペーン 5500 65 55 27 2 650

1. ワークフローの作成

Slackで「ワークフロービルダー」を開き、ワークフローを作成します。

ワークフローの作成

2. ワークフローの開始トリガーの設定

ワークフローの開始トリガーとなるイベントを選択します。ここでは特定チャンネルでワークフローが起動できるように "ショートカット" を選択します。

Slackトリガー

ショートカットはマウスクリックでワークフローを起動します。

3. 入力フォームの設定

ステップを追加して、SlackからキャンペーンIDで検索できるように、"フォームを送信する" を選択し、"キャンペーンID" を入力できるようにします。

フォームを送信する

4. 検索キーとスプレッドシートとの紐づけ

ステップを追加して、"Select a spreadsheet row" を選択します。

スプレッドシートにアクセス可能なアカウントでSlackと連携します。

Googleアカウントの設定

初めて連携設定する場合は Sign in with Google ボタンが表示されるので、クリックし、Google アカウントを選択します。 そのあとSlackに対するアクセス権を求められるので付与します。権限が付与されていない場合、ワークフロービルダーからスプレッドシートを見つけ出すことができません。

Google アカウントの選択

Google アカウントを連携したら、スプレッドシートを選択し、先ほどフォームから入力されたキャンペーンIDとスプレッドシートのキャンペーンIDを紐づけましょう。

Select a spreadsheet row

5. 検索結果の表示

ステップを追加して、"メッセージを送信" を選択し、スプレッドシートの列や表示したい文字列を入力しましょう。

メッセージを送信

6. 保存と公開

最後に、ワークフローの設定を保存し、公開します。これで、Googleスプレッドシートと連携するワークフローの設定が完了です。

保存と公開

上級テクニック

これまで見てきたように、SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシートの連携は非常に便利ですが、さらに可能性を広げるためには、Google Apps Scriptや外部連携を設けることです。これにより、社内間のメール送信共有や、SalesforceなどのCRMと連携してさらなる生産性向上を実現することができます。

Google Apps Scriptとの連携のメリット

無料でやるなら手っ取り早く、Google Apps Scriptを使うことですが、これにはコーディングが必要となります。Googleの各種サービスをJavaScriptベースのスクリプトで操作することができる非常に強力なツールですが、ここに力をいれるよりも、ノーコードでさくっと実装してしまう方が、すぐに効果を実感できると思います。まずは簡単なものから始めましょう。 あなたも是非、SlackワークフロービルダーとGoogleスプレッドシート、Google Apps Scriptの連携を試してみて、新たな生産性の高まりを実感してみてください。

まとめ

以上、GoogleスプレッドシートとSlackのワークフローの連携について解説しました。これを利用することで、リアルタイムのデータ管理が可能になり、業務の効率化が期待できます。今回はメールマーケティングの一例を取り上げましたが、他の業務やプロジェクト管理にも応用可能です。

まずは、自分の業務にどのように活用できるかを考え、小規模なプロジェクトから試してみてください。一歩を踏み出すことで、新たな業務改善の道が開かれるかもしれません。

最後に、この記事が皆さまの業務改善の一助となれば幸いです。今後も有益な情報を提供してまいりますので、引き続きご注目いただけますと幸いです。

余談

Googleスプレッドシートに直接記入するのと、Slackワークフロービルダーから記入してGoogleスプレッドシートに反映されるのと、操作の手間が同じように思えるが・・・

一見するとGoogleスプレッドシートに直接入力するのと、Slackワークフロービルダーから操作するのとでは、手間が変わらないように思えます。しかし、これは個々のタスクを考えた場合で、連携機能を使うことで得られる利点を全体的に見てみると違いが出てきます。 まず、具体的な操作内容についてですが、Slackワークフロービルダーを使う場合、ユーザーは特定のチャンネルでメッセージを入力するだけでOKです。一方、Googleスプレッドシートに直接入力する場合、まずスプレッドシートを開き、適切なセルを見つけてから入力を始める必要があります。これは、特にスプレッドシートが複雑で大規模な場合、一定の時間と労力がかかります。 次に、これがもたらす短縮時間についてですが、これは使用状況や業務の内容によりますが、たとえば大規模なプロジェクトで多くのメンバーが関与している場合、一人あたりが省ける時間が数秒でも、それが全員分に積み重なると大きな時間短縮につながります。また、エラーの可能性も減らすことができます。スプレッドシートを直接操作すると、誤って間違ったセルに入力したり、重要なデータを削除したりするリスクがあります。一方、Slackから操作すると、そのようなミスを防ぐことができます。 したがって、具体的な時間短縮の数値は業務の内容や規模によるため一概には言えませんが、Slackワークフロービルダーを用いた自動化は、個々の操作の短縮だけでなく、全体的な業務効率の向上やミスの減少といった効果をもたらします。